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(主人公アクセルは叔父の鉱物学教授リーデンブロックとアイスランド人のハンスと一緒にアイスランドのスネッフェルス山から地底探検に出る。そこで数々の驚くべき体験をするが、いつしか一行の筏は活動中の火山の火道に迷い込んでしまう) ・・爆発音がたえまなく響き、岩の塊が振動し、筏がきりきり舞いしていたのを、漠然と覚えているだけだ。筏は灰の雨に包まれ、溶岩の波の上で揺れ動いた。炎が唸りをあげて、おそいかかってきた。巨大な送風機から送られてくるような暴風が、地下の火をかき立てているのだった。(中略)・・ わたしが横たわっていたのは山の斜面だったが、すぐ横は切り立った崖で、ちょっと身動きしただけでまっさかさまに転落してしまいそうだった。噴火口から斜面 に転がり落ちたわたしを、ハンスが死の間際で救ってくれたのだった。「ここはどこだ?」と、叔父が尋ねた。(中略)・・ そうこうしているうちに、目にも美しいあの緑あふれる山麓に近づいてきた。わたしは飢えと乾きで、ひどく苦しかったが、さいわいなことに二時間ほど歩くと、美しい平地が目の前に広がってきた。オリーブやザクロやブドウが一面 に茂っている。所有者があるようには見えなかったし、そもそも、そのときのわたしたちのような窮迫状態にあれば、細かいことはあまり気にしないものだ。みずみずしい果 物を唇で押しつぶし、赤いブドウに房ごとかぶりつくのは、なんという喜びだったことだろう!近くの草地では冷たい水のこんこんと湧く泉も見つかった。わたしたちは、その水に顔や手をひたす快楽をこころゆくまで味わった。このようにして、めいめいが休息の心地よさにうっとりしていると、オリーブの木の繁みから、ひとりの子供が現れた。「ああ!」と、わたしは叫んだ。「この至福の土地の住人だ!」 「地底旅行」ジュール・ヴエルヌ作 朝比奈弘治訳 岩波文庫より抜粋 Jules Verne - Voyages Extraordinaires 日本では「ジュール・ヴェルヌ」と言ってもぴんとこない人が多い(でも図書館の児童書のコーナーの定番なんだけど)し、私もそれほど読んだわけではないが、海外にはコナン・ドイルみたいにファン層がしっかりしているようだ。フレンチ・コミックのTinTinはそういえばヴェルヌっぽいシーンの絵とかあるなあ。でもストロンボリにはTinTinやヴェルヌの本の挿し絵のTシャツとかなかったのが残念。 アルゴノート ジュール・ヴェルヌ・ページ |
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Voyage au centre de la terre |